土耕農家

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土耕農家

History 〜西城土耕ねぎの誕生まで

 市役所に勤務する傍ら、家業の農家を手伝うも、ある時から水田を土耕栽培できるネギに転換しようと決意しました。地域のトマト農家さんから使われなくなったハウスを譲っていただいたのですが、ハウスは栽培する野菜によって構造が異なります。

 足りない部品を揃えながら、水田を畑に変えていく作業は、想像以上に大変でした。しかし、何事も夢中になると、とことんやり逃げる性格の僕は、休みの日を利用して、コツコツと作業を続けました。そして、10年もの月日をかけ、遂に土耕のネギ畑を完成させることができました。

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 畑ができたら、いよいよ土づくりです。先輩農家さんから教わりながら、ボカシ肥料を作っています。ボカシ肥料とは、微生物(発酵菌)に有機物を分解させて作る肥料のことで、土がとてもやわらかくなります。適切に微生物が分解する環境を作ったうえで、有機物を混ぜることがポイントです。

 化学肥料と違って、すぐに効果がでるようなものではなく、ゆっくりと土が良くなっていきます。このようなコツコツと積み上げていく作業が好きな性分なので、こうして小さな菌の力を使って、良い土を作っていく作業が楽しくて仕方ありません。

 土が良い状態になってから、ネギの味も良くなっていきました。このネギを使った加工品開発の第1弾として、ネギキムチを作ったところ、たくさんの方に美味しいと評価していただきました。僕自身がこのネギの良さを再認識し、もっと多くの方に知っていただきたいと思うようになりました。

 2024年、このネギを「西城土耕ねぎ」と名付けました。この庄原市西城町の地で、菌の力でゆっくりと育てた土だからこそ、の味です。程よく辛味の効いた、エグミのないネギ本来の味だと思います。

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西城土耕ねぎ「雪の下」について

 庄原市西城町は、積雪冷地に指定されている地域です。冬季は、積雪でハウスが倒壊しないように、ハウスのビニールを巻き上げた状態にします。すると、ちょうど12月に定植した苗は、翌3月半ばごろまで積もった雪の下で眠ったような状態になります。それは、一見、枯れてしまったようにも見えます。ところが、春になり、雪解けと共に、枯れたように見えたネギは再び起き上がり始めます。そして、しっかり成長していくのです。
 この強い生命力こそ、西城土耕ねぎです。良い状態の土に、しっかり根が張っているため、雪の下でも自ら糖分を生成することができるのです。

 この雪の下で越冬した西城土耕ねぎは、特別に「雪の下」と呼び、直売所のみの期間・数量限定販売としています。「成長し続ける」「くじけない」「再起」「カムバック」「生命力の象徴」など、非常に縁起が良いねぎです。